こんにちは。ハピネコ(@happyneconyc)です。
2021年の6月にキッチンのリノベーションがおわり、小さなキッチンヌークに、ずっと作ろうと思っていたベンチをやっとDIYしました。仕上がりにも満足できているので、ベンチ作りのプロセスを残して、これからDIYでベンチを作る人の参考になればいいなと思います。
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Contents
ヌークとは
ヌークというのは日本ではあまり馴染みがない言葉かもしれません。ヌークは空間からはみ出た小さなスペースのことで、キッチン、寝室などによくみられます。そのスペースにベンチを作ったり、カウンターをつけてデスクにしたりするのが一般的です。
キッチンの場合、アメリカではブレックファーストヌーク、と呼んだりもします。フォーマルダイニングルームが別にあって、さらに軽食を食べる用のスペースがある、ということになります。
我が家もフォーマルダイニングルームが別にあり、キッチンに本当に小さいヌークが作れるコーナーがあるので、キッチンのリノベーションが終わったらベンチが欲しいなと思っていました。
ただ、小さすぎて既製品ではサイズが合わず、かといってカスタムオーダーをすると$1000を超えてしまうので、キッチンリノベでお金がかかったこともあり、DIYをすることにしました。結果としてとても気に入っているのと、$150くらいの材料費でできたので、我ながらあっぱれだと思います。
家具づくりの知識
学生時代の専攻はプロダクトデザイン(家具や雑貨などの立体物デザイン全般)で、木工技術についてもある程度学んだため、一通りの機械を使ったことがあります。
その後家具メーカーで5年インハウスデザイナーとして働いていたので、家具に使う素材や仕上げ方などの知識もあります。
そのため、直線直角でシンプルなベンチを作るのはそれほど大変なことではありませんでしたが、最近は完全な初心者の方でもYouTubeでDIYの動画をアップされているのですごいと思います。
夫は完全なIT guyでDIYの腕は皆無なので、大きな板を運ぶのを手伝ってもらう以外は1人で作業しました。
1番大事なこと ー 図面を書く!
家具づくりで1番重要と言ってもいいのが、図面。これがないと、スムーズに作業を進められないし、ちゃんとしたものが完成できません。
まずはベンチを設置したい場所を計測し、ベンチのサイズを決めます。壁や床にビス留めするタイプか、中に収納できるようにするのか、なども決めます。
うちの場合は、ヌークが地下室とサンルームへの通路にもなっているため、何か大きいものをそれらの場所に運ぶ時には邪魔にならないよう動かしたりしたいので、床にただ置くタイプにしました。
こちらは立面図です。正面、側面、上面を書きます。図面はDIYなら手書きでも数値が合っていれば全然大丈夫です。
座面を外して、中に収納ができるようにしました。座面を簡単に開けられるよう軽くするため、大きい方のベンチの座面は2つに分けました。
座面と本体をヒンジで繋げるタイプのベンチを作る人が多いですが、指を挟む危険性があることと、開けたら座面を押さえていないと中に収納できない、などで結局不便なので、私はあえてただ外すだけのフタタイプの座面にしています。
こちらは分解図といって、各パーツの図面です。赤字は仕上げ方、緑は後で出てくるジョイントホールの位置です。この分解図があることで、各パーツを間違いなくカットと加工ができます。
こちらは分取り図といって、木の板からどのパーツをどのようにカットするか、という図面です。この図面を書いておくことで、板を効率よく間違いなくカットができます。赤い矢印は木目の向きを表します。
アメリカではホームセンターでも希望のサイズにカットしてもらえるのですが、こちらではインチを使うので、細かいミリ単位での指定が難しい(正確にカットされない)ため、車に入るサイズ(青ライン)でカットしてもらい、あとは自分でカットしています。
ベンチ作り ー カットから塗装まで
図面がそろったらベンチ製作に入ります。作るのに集中してあまり写真を撮っていませんでした。すみません。
今回私が使ったのは、レッドオークのプライウッドで、サイズは4’× 8’(1200mm × 2400mm)、厚さは 3/4″(約19mm)。プライウッドの両面にレッドオークの薄い板を貼っているものです。一般的に家具本体を作る時には19mmの厚みの板を使います。
レッドオークを選んだのは、我が家のフローリングがレッドオークで、ベンチの座面はナチュラルのままにする予定なので、同じ木目のレッドオークを選びました。全てペイントしてしまう場合は、ペイント用のプライウッド(sanded plywood)が、もう少し安く購入できます。
1ヶ月前にこのプライウッドを見た時よりも10ドル近く値上げしていて驚きました。このプライウッドを2枚購入しました。最終的には板の端材がたくさん出たので、何か小さなものがもう1つ作れそうです。
ホームセンターで車に入るように大まかにカットした板を、分取り図と分解図を見てチェックしながらカットしていきます。ちなみにものすごい木の粉だらけになります。業務用の掃除機があると後が楽です。
カットしたら、パーツの名前を書いておくとその後の作業がしやすいです。
ちなみにカットするにはテーブルソー↓を使っています。日本のRyobiはアメリカでも人気で、手頃な値段で本格的なものが手に入りやすいです。私が使ったものはコンパクトなので、大きいパーツをカットするには工夫が必要です。
テーブルソーを使うにはちょっとコツがいるかもしれません。危険が伴うので、初めて使う方は必ずYouTubeなどを見て知識を入れた方がいいと思います。ちなみに私は学生時代、もっと大きなテーブルソーで怪我をしたことがあるので、かなり気を付けて使っています。
全てのパーツをカットし終えたら、面倒でも一回設置場所に持っていって、全てが正しいかどうかチェックします。
これで私はひとつ設計ミスを発見し、この後もう一度いくつかのパーツをカットする作業をすることになりました。ここで気づいていなかったら、組み立てて塗装までした後に発見し、大泣きするところでした。
プライウッドのエッジはそのまま見せると美しくないため、Wood Tapeという薄い木にボンドがついたテープをアイロンで貼って仕上げます。プライウッドと同種のレッドオークのテープを使います。
全てのパーツのエッジに着けるのではなく、外から見えるエッジ(例:座面)、座面を開けた時に見えるエッジ(中の仕切り板の上)、塗装をするエッジに着けます。
もともとはこんな感じのエッジです。ボソボソしているので、美しくありません。
テープをアイロンでゆっくりと押さえつけます。各場所で10秒ほど押さえつけると、ボンドが溶けて接着されます。そのあとは冷える前に、硬いプラスチックのカードなどでエッジを擦り、定着させます。
接着直後はこんな感じ。ボンドがはみ出たり、テープのバリが出たりしています。
これを、サンドペーパーを使って研磨します。サンドペーパーは120番以上を使うのがちょうどいいです。電動サンダーを使うと強すぎてテープを傷つけてしまうので、面倒ですが、手作業で行います。
しっかり冷えたのを確認して研磨します。こちらは研磨後のエッジ。かなり本体に馴染みましたよね。ぱっと見ではプライウッドに見えず、まるで無垢のオークを使っているように見えます。この一手間が、最終的な仕上がりに大きく関わってきますので、エッジテープはとてもおすすめです。この上から塗装も問題なくできます。
ベンチの内側にくるパーツと、座面にクリアーのポリウレタン塗装をします。この塗装をすることで、木のざらざら感が落ち着き、手触りがよくなることと、傷がつきにくくなり、仕上がりが美しくなります。かなり薄い塗料なので、木のあたたかい質感はそのまま残すことができます。
ウォーターベースの塗料はオイルベースよりも乾くのに時間はかかりますが匂いが少ないです。そして最低でも3回以上塗布します(塗布→乾燥の繰り返し)。薄い塗料なので、刷毛にはスポンジブラシを使うのがおすすめです。Wood Tapeの箇所にも忘れずに塗布します。
塗装をしているとだんだん木が毛羽立ってきてざらざらしますが、後でサンダーで研磨するので問題ありません。
要注意なのは、カラーの塗装をするパーツにはポリウレタン塗装してはいけません。カラー塗装の後でその上からポリウレタン塗装をします。なので、ブラック塗装をするパーツには一切塗装をしていません。
ジョイントホールというのは、そのままですがパーツをジョイントするための穴を開けます。この穴を開けることで、外にはネジを見せずにベンチを組み立てることができます。
どのパーツのどこに開けるのかは、設計時に図面にしっかり記入しておきます。
↓のようなキットを買うと、ドリルビットや、後でネジを留めるための四角いビットなどが一緒に入って来ます。
私は安いキットを買ってしまったのでこんな感じ↑ですが、100ドルくらいするタイプのものは、もっと使いやすい設計がされています。でも、安いものでも十分使えます。
必要なパーツにポリウレタン塗装が終わり、ジョイントホールを開けたら、研磨をします。
ここでは電動のサンダーを使います。↓のものはバッテリーが別になっています。Ryobi製品を他にも持っている場合はバッテリーを兼用できるので、サンダー自体はとてもお買い得な値段でありがたいです。部屋のペイント時にもサンダーは大活躍するので、1つあるととっても重宝します。
サンダーに付けるサンドペーパーは320番以上を使います。研磨したら手で板の表面を触って、しっかり研磨されているか確認します。研磨が終わったら、濡らして硬く絞った布で全てのパーツを拭き上げます。
ジョイントホールから、↓のビスを使って組み立ていきます。ジョイントホールを開けたところにこれ以外の普通のビスを使うとプライウッドが割れてしまうので要注意です。
ジョイントホールのキットに入っている四角いビットを電動ドリルに取り付け、組み立てていきます。
組み立ての順番はちょっと工夫が必要です。今回は中仕切り板を前板にジョイントする必要があったので、背板を最後にジョイントする形で組み立てました。組み立て前に順番をシュミレーションする必要がありますね。
ここは完全に写真を撮り忘れました。
ベンチ本体の外側にくる面と上のエッジにブラック塗装をしますが、塗装の前に、電動サンダーで塗装予定の面を研磨します。
このブラックは表に見える「顔」とも言える面なので、綺麗に仕上げるために、サンドペーパー120番 → 220番 → 320番と順番に研磨していきます。
通常はブラック塗装の後に塗布する3回のポリウレタン塗装の合間に研磨をするのですが、色がホワイト系だったら問題ないのですが今回はブラックなので、研磨の粉が木目に入り込み、取るのが大変になってしまいます。研磨を頻繁にしなくて済むように、事前にできるだけさらっさらな面に仕上げておきます。研磨後は濡らして硬く絞った布で拭きあげることもお忘れなく。
ペイントはHome Depotで販売している上写真のもの。かなり濃いめのブラックなので、プライマーは塗らずにそのままブラックを塗っています。ホワイトなどの薄い色の場合にはプライマーを塗るのがおすすめです。(上写真ペイントはプライマーが入っていますが、薄い色の場合やっぱりプライマーはした方がいいと思います。)
ブラック塗装が完全に乾いたら、先ほども使ったポリウレタン塗料を上から塗布します。こちらも3回ほど塗布&乾燥を繰り返します。
座面の裏に、たわみ防止の補強パーツをつけます。プライウッドはベニヤの木目の向きを交互にしながら何層にもして反りにくくしているのと、それほど幅のある座面ではないので、実際はたわまないと思うのですが、念の為と、座った時にこの補強パーツが座面が前にずれるのをブロックしてくれるのもあり、つけることにしました。
この補強パーツは端材でぱぱっとつくれます。外側にくるエッジにはWood Tapeを貼り、ポリウレタン塗装を3回してあります。座面裏へは、補強パーツ、座面裏ともに穴を開け、下写真のような木ダボとボンドでジョイントします。
座面は表に綺麗な木目がでるようにして、裏は↑こんな感じの木目でも大丈夫です。補強パーツをつけると↑のようになります。
キッチンリノベの時に設置してもらっていたコンクリートのランプシェードともしっくりきています。しかし窓のブラインドと合ってないですね・・・。時期を見て替えます(まだ使えるのにデザインだけの理由で替えるのは抵抗がある・・・)。
地下室へ続く右の通路が狭いので、壁にビス留めせずに置き型のベンチにした理由がお分かりいただけると思います。
中はこんな感じでパントリー的に使えそうです。とはいえ、キッチンキャビネットの中もまだガラガラなので、今は特に入れるものがないのですが。
テーブルも合わせるとこんな感じになります。こういった小さなスペースの場合には、四つ足のテーブルよりも上写真のような一つ足のベースタイプがおすすめです。
テーブルトップはEtsyでアンフィニッシュの板を買ってブラック塗装&裏面に加工をしました。
おまけ ー バックヤードのライトポールを作りました
バックヤードにライトをつけるのに、スチールのポールを買おうと考えていましたが、レビューのいいポールを見つけられなかったのと、調べたら↑のようなライトポールをDIYしているブロガーさんを見つけ、真似して作りました。
ふたつ、このポールを作りました。必要なのは下記。だいたいホームセンターで揃います。
- 樽のようなバケツ
- 8フィートの角材
- L字金具
- ライトを掛けるフック
- ウッドステイン
- セメント
- 園芸用土
- 好きな植物
角材にステインを塗布してトップにフックをつけ、ステインが乾いたら樽の中にL字金具を使って立て、樽の中でセメントを水と混ぜ合わせ1日待ちます。樽の側面に排水用の穴をドリルで開けて園芸用土を入れ、お花を植えたら完成です。
セメントでかなり重たくなるので、設置したい場所で作業をします。
まとめ
やっとキッチンにベンチを設置できました。今までは煮込み料理などをしている間はリビングで座ったりしていたのですが、これからはキッチンでくつろぎながら料理ができます。
今はベンチの上に乗せるベンチ用クッションをEtsyで探しているところです。
昨年家を買ってから、徐々に自分たちにフィットするように色々替えてきて、居心地のよい空間ができつつあります。マンハッタンのアパートでは経験できなかったことでもあって、今の生活の方が「自分たちの暮らしを作っている」という充実感が高い気がしています。自分の経験やスキルがそれに活かせているのも嬉しいです。
DIYの質問などありましたらお気軽にどうぞ。またDIYをしたら記事にしたいと思います!
ではでは。
▼ キッチンリノベーション完成の話はこちら
こんにちは!
キッチンのオークの床材ですが、品名を教えていただくことは可能でしょうか?よろしくお願い致します。
さゆりさん、こんにちは!キッチンのフローリングは下記URLのものです。
Virginia Mill Works : 3/8 in. Blue Ridge Oak Distressed Engineered Hardwood Flooring 6.38 in. Wide
https://www.llflooring.com/p/virginia-mill-works-3-8-in.-blue-ridge-oak-distressed-engineered-hardwood-flooring-6.38-in.-wide-10048513.html