アメリカで家を買うことに決めた

アメリカ 不動産 家 購入

こんにちは。ハピネコ(@happyneconyc)です。

ニューヨークに来てもうすぐ丸5年。このまましばらくはニューヨーク暮らしかな〜と思っていましたが、お隣のニュージャージー州に家を買うことにしました。

決め手はなんと言ってもコロナウィルス。正確にいえば、コロナで状況が変わったから。特にニューヨークでは私たち夫婦と同じ決断に至った人たちがかなり多いと思います。

そして同じ決断をしたニューヨーカーがかなり多かったことから、私たちの家探しも難航することになりました・・・。

この記事を書いている現時点(2020年8月)でまだclosing(家の引き渡し)には至っていませんが、このまま何も問題なければ9月末には家の引き渡しというところまで来ました。

【追記】2020年9月に無事引っ越しました!

コロナのおかげで異常な不動産の状況で家を買った記録として、この記事を残しておきたいと思って書いています。

マンハッタンで暮らすということ

住んでいたアパートのジムのテラスから見えるビル

夫と私はマンハッタンのファイナンシャル・ディストリクトと呼ばれる地域(わかりやすくいうとウォール・ストリート)に、結婚前から3年弱住んでいます。イーストリバーとハドソンリバーに挟まれたウォーターフロントで開放感があり、マンハッタンはもちろん、ブルックリン、ニュージャージーにも交通の便が良く、ものすごく便利な地域です。

周辺はニューヨーク証券取引所やフェデラルホールなどの歴史的建築物が多く、私たちのアパートも歴史的建造物に指定されています。歴史を感じるアール・デコな建築やロビーのインテリア、そして高層の部屋から見えるアッパーベイやブルックリン、ガバナーズアイランドが美しく、マンハッタンの先端なので、朝焼けと夕焼けが両方見れる景色もとても気に入っていました。

ただ、やっぱり家賃は高い。賃貸である以上、家賃は払い捨てで将来的にも資産になりません。不動産のサイトを使って計算してみると、同じくらいの家賃で5年以上住む場合には不動産を購入した方がメリットが高いことがわかりました。その計算をしたのが、アパートに住んでもうすぐ2年になる時。

私の現在の仕事は完全在宅でのフリーランスですが転職する予定で、その場合にはマンハッタンにオフィスがあるイメージ。夫のオフィスはアメリカでよくあるとてもクールにデザインされたインテリアで、飲み物やスナック、シャワールームなどいろいろな設備が充実しているところなので、夫は毎日オフィスに行きたい派。

そうなるとマンハッタンやブルックリンで家を買う・・・。数ミリオン$(数億円)超えなどで金額が現実的じゃないのですよね。ミリオン$以下で買えたとしてもかなり狭く、QOLがぐんと下がってしまうのは容易に想像できます。

そしてニュージャージーの夫の実家に行くと、真冬以外は緑や鳥の鳴き声に囲まれたバックヤードで過ごすことが多く、義実家なのにとてもリラックスできました。

Garden Stateとも呼ばれるほどの自然豊かなニュージャージーに家を買うか・・・、でもマンハッタンに毎日仕事に行くのはちょっと大変!と2人でうじうじ考えていたのです。

そこに起こったのがコロナウィルスのパンデミックでした。

コロナの影響で変わったこと

stayhomeがはじまった頃の人がいないニューヨーク証券取引所

コロナがNYで猛威を奮い始めた3月上旬、夫の会社は全員WFH(Working From Home)になり、今現在でもそれは続いています。

1Bed Roomの我が家では夫がリビング、私がベッドルームで2人とも家で仕事をするようになりました。私はデザイン系の仕事で、夫はテック系のエンジニアなので、2人ともWFHが継続できる環境にありますが、1Bed Roomでは狭い・・・。ミーティングの場合には音を立てないようにするなどの配慮が必要になります。その上、家で仕事ができるならマンハッタンに住む必要もありません。

そしてマンハッタンに住んでこんなに高い家賃を払っているのに、行きたい店や美術館などは軒並み閉まっているし、レストランは中で食事ができない、さらにいくつかの大好きなレストランは閉店してしまった・・・前のように気軽に電車に乗るのを躊躇する、しかも治安が悪化中、そしてこれはきっとしばらく続き、いつ終わるか不明・・・という状況。

#stayhome中の人がいないソーホー地区。略奪防止の板張りをしている店も。

ニューヨークは大好きで便利だけど、自分たちの暮らしをもっと自分たちの思う豊かさに近づけたい。便利さよりも、メンタリティのリラックスを大切にしたい、ということで、ニュージャージーに家を買うことを決めました。

マンハッタンのアパートからはアッパーベイやガバナーズアイランドが見えるとはいえ、やはり大都会の中なので、周囲のビルの空調の音、近くのヘリポートへ着陸するヘリの音など、窓を開ければ大都会の音が常に聞こえます。そして隣人はパーティー好きなカップルで、ほぼ毎週末(ロックダウン中でも)パーティーを開催するという始末。

静岡の田舎生まれ&育ちの私も、東京とニューヨークで合わせて15年近く大都会で暮らしてきたので、そろそろ自然回帰してもいい頃合いかな、と思うようになりました。

また、アメリカの多くのアパートでは1年や1年半などの賃貸契約期間があり、この期間以内に退去する場合には、住んでいないのに残りの期間も家賃を払わなければなりません。私たちは今年の4月に更新しましたが、このコロナの状況もあり、90日以内なら更新をキャンセルできるという新ルールができたため、この期間内に家を見つける必要があります。(その後、更新のキャンセルを30日延長する交渉をしてOKになりました。)

ニュージャージーで家を探し始める → 大苦戦!

2人ともWFHができる仕事とはいえ、週1〜2回のオフィス通いになった時にも対応できるように、電車で30分〜45分以内でマンハッタンに到着できる範囲のニュージャージーで探し始めました。

内見を申し込んだのが5月の終わり。今思えばスタートが遅かったんですね・・・。早い人はもっと前から動いてました。とはいえ、4月にニューヨークのコロナ感染者がピークを迎えていたことを考えると、とてもじゃないけど家の内見に行って、なんて考えられる状況じゃなかったので、感染のリスクは負えませんでした。

アメリカでの不動産の購入は、家の金額が表示されていても、ざっくりですが、

締め切り期日までに、購入したい家に対して買いたい金額でオファーを入れる

オファーが複数の場合、オーナーがいい条件(オファー金額や収入など)のバイヤーを選ぶ or オーナーが新たな条件を出してくる

(オーナーと条件などの交渉後)バイヤーのオファーが受け入れられる

という流れがあり、日本の不動産の購入システムに比べるとオークション的になっています。

*日本では中古住宅の市場は新築や注文住宅ほど大きくありませんが、アメリカ(少なくとも大都市周辺のエリア)では、新築よりも中古住宅を購入するケースの方が多いです。そのため、日本のように住宅メーカーから家を買うのではなく、エージェントが家のオーナーとバイヤーの間で売買の仕事をしてくれます。中古住宅もボロボロなものから新築のようにリノベートされているものと様々です。

6月に入って内見を申し込むと、2日後にはオファー締め切りだったり、すでに3つのオファーを受けており他のバイヤーとの競争になる、ということが相次ぎました。また、ウェブサイトにUPされてすぐに内見を申し込んでも、すでにオファーを受けたということで締め切っているところも多々ありました。

エージェントもニューヨークからのバイヤーがかなり多く、1日に何軒もの内見の申込があり、いまの忙しさはクレイジー!とのことでした。

6件ほど内見しそのうちの1件にオファーを入れましたが、競争に勝てずに負け、引き続き探していたところ、バックヤードがかなり広く予算よりもずっと安い、条件にぴったりな家を見つけました!

早速内見に行き、その日のうちにオファーを入れました。ちなみにオファー金額ですが、これだけ競争率が激しいため、盲目的に高い金額でオファーを入れてしまいがちですが、私たちは目安としてリスティング価格の10〜13%UPまで、と決めていました。

この家にはリスティング価格の10%UPでオファーを入れ、18件ものオファーの中からオーナーは私たちのオファーを選んでくれました。18件のオファーというのがもう異常なほどのセラーマーケット(家を売るオーナー側が有利になっている)を物語っています。家にもよりますが、通常時は1〜2件のオファーのようです。

家を買える!と喜んだのも束の間。どうしてもこの家を欲しいバイヤーがかなり高い金額で交渉し、私たちもさらに上を行く(であろう)金額で再オファーしましたが、他バイヤーの交渉の方が一枚上手だったようです。その家は他バイヤーに渡ってしまいました。他バイヤーの交渉内容や金額は一切知らされないので、まるでポーカーゲームをしている感覚。

実は私たち側のエージェントや弁護士からは、こういう場合は高金額で再オファーなどの深追いをしない方がいい、キャンブルになってしまう(その価値がないのに高すぎる金額になる)と忠告されていたことと、再オファー金額は自分たちで決めた”リスティング価格の10〜13%UPまで”のルールを遥かに上回っていたので、ここはこの結果でよかったんだと、今では思います。

その家に未練がありながらも、その後10件ほど内見に行きましたが、写真では良さそうに見えるものの、実際にはどうみてもゴミ屋敷の隣だったり、ジメジメして外壁に苔が多く暗かったりと、逃した家ほどのパーフェクトな家を見つけられずに、半ば諦めながらZillow(アメリカの不動産情報サイト)を毎日チェックしていました。エージェントからは「絶対あの家を超える家に出会えるから!」と何度も言われ、「ほんとかい・・・?なぜそんな自信満々で言えるのだ・・・?」と疑心暗鬼にもなってました。

やっと住みたい家を見つける

最後の内見から2週間後、やっと「お!」と思える家をZillowで見つけました。逃した家よりも金額は高いですが、家の面積が広いしバックヤードもかなり広い。

キッチンは古いのでアップデートが必要だけど、逆に自分の好きなように変えられるので中途半端に新しいよりは全然いい!家をZillowで見る時は、アップデートして良くなるかのポテンシャルも写真から判断します。

アメリカの場合、子どもがいなくても買いたい家の学区がいいかどうかは、治安とリセール時の不動産価値に直結します。新たに見つけた家の学区はかなり良く、ストリートビューで見ても緑が多く、家と家の間隔も広い、いい雰囲気の街でした。

すぐに内見に行き、2人とも「この家だ!」となったので、オファーをいれました。オファーを入れる時の金額の目安として、エージェントがこの家と似た条件(広さ、築年数、設備など)で、最近売買があった同じ地域の家を調査し、リスティング価格とオファー価格にどれだけの開きがあるのかの”傾向”をお知らせしてくれました。これが必要以上に高い金額でオファーしないための抑止力になります。

結果3件ほどオファーがあったようですが、私たちのオファーが選ばれました。結果を聞くまでは毎日ハラハラしていましたが、本当にホッとしました・・・。

オファー後にはアトーニーレビュー(弁護士のレビュー)、インスペクション(家の検査)、頭金の支払いなど目白押しでしたが、現在は家の権利が私たちに移るのを待つ状態です。ちょっとこれは時間がかかりそうですが、このまま問題がなければ、9月末には引越しになります。(問題が発生したら家探しからやり直し!汗)

最近になってZillowのfavoriteに入れていた家々の表示が、Soldになってきていますが、人気のエリアではリスティング価格よりも$20万ドル以上(約2120万円以上)UPで最終的に売れている家がわんさかあって、心底ビックリしています。

NY郊外で暮らすことは正解か?

田んぼや茶畑に囲まれた自然の多い静岡の田舎で、都会に憧れながら育ち、その後都会に出た私は、今まで「自然に近い場所で暮らす喜び」や「自然の中だからできる新しい考え方や試み」をかなり軽視してきたと思います。

デザイナー職ということもあり、都会での体験をいつも重視してきましたが、きっともうそんな時代ではなくなってきましたね。

以前、カリクーンというニューヨーク州の北にある携帯もつながらない山と川に囲まれた街に行った時、ブルックリンに長く住んでいたという現地の女性と話しました。彼女もグラフィックデザイナーで都会での暮らしに飽き、さらなるクリエイティビティのために引っ越してきていました。カリクーンには彼女のようにニューヨークから引っ越してきたアーティストやミュージシャンが多くいるそうです。

ニュージャージーに家を買う時になって彼女のことを思い出し、自分のクリエイティビティが鎮火してしまわないかぎり、都会に住んでいるかどうかは関係なく、その時の自分に合った場所に行けばいいのだ、と思うようになりました。

今までは近すぎて全く見えてなかったニューヨークが、少し離れていろいろ今までとは違う形で見えてくることがあるような気がしています。

とはいえ、車では30分、電車でも40分弱くらいなのでそれほど遠くはないし、週1くらいでマンハッタンに来る予定ではありますが、暮らす環境が異なるとニューヨークの見え方がかなり違ってくると思います。日本を出てからいろいろ見えるようになったのと同じように。

ニュージャージーでは車がないと生活できないので、久しぶりに車の運転をしていろいろなところに行けるのも楽しみです。ニューヨークはアメリカの中でも特殊な街なので、ここからやっとリアルなアメリカ生活が始まるのかもしれません。

▼ ニュージャージーに引越し2年後の記事はこちら

まとめ

思ったよりも長くなってしまいました!

引越しをした後には、家を買う時の詳細など、続きはこちらです。↓

その後はキッチンのリノベーションなども記事を書きたいと思います。

ではでは。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です