アメリカで家を買った話

アメリカで家を買った話 アメリカ 不動産 購入

こんにちは。ハピネコ(@happyneconyc)です。

夫と私はニューヨークのマンハッタンで暮らしていましたが、コロナウィルスをきっかけに、マンハッタンから30分ほど離れたお隣の州のニュージャージーに家を購入しました。

私たちにとっては初めてのアメリカでの家購入でした。ここでは私がアメリカと日本の違いで驚いたことや、不動産購入の流れなどをご紹介します。これからアメリカで家を買おうとしている人たちの参考になればと思います。

*この記事はアメリカ、ニュージャージー州で家を買った経験です。大筋はどの州でも似ていますが、州によって細かいルールなどが異なる場合があります。

アメリカでの家購入への考え方

私は日本でインテリアデザイナーとして、新築一軒家、アパート、マンション、マンションのリノベーションなどに携わっていました。日本での不動産購入の流れはわかっていたので、自分がアメリカで不動産を購入する立場になって、日本とは異なることが多く非常に興味深かったです。

新築よりも、中古住宅の売買のほうが一般的

日本では一軒家を購入した際に、「家を建てた」と表現することが多いことからもわかるように、新築住宅を購入する方が中古住宅よりも一般的ですが、少なくともアメリカのニュージャージーなどの大都市周辺は、中古住宅を新築のようにリノベートして販売したり、中古で購入して自分たちでリノベートする方が盛んです。

日本では一軒家を新築で購入しても、土地の価値は上がるかもしれませんが、建物自体の価値はどんどん下がって行くのが通例です。そのため、家を購入してもローンが終わるまでは財産ではなく、負債として考えるべきだと教わりました。

アメリカでは全く逆で、古い家でも土地も合わせて価値が上がっていきます。そのため、地域や場所によってはごく普通の一軒家でも20年前に購入した価格の倍以上の価値になっている、ということもあります。

家の購入は一生に一度ではなく、7年に一度

私たちのエージェントによると、アメリカに住む人たちは平均して7年に一度、家を購入しているそうです。住み替えや投資目的など、パターンはいろいろありそうですが、不動産の検索Webサイトで家の購入履歴を見たときに、実際に4年〜15年の間ごとでオーナーが代わっている家が多いのに気付きました。

日本では家を建てるのは一生に一度の大イベント、というイメージでしたが、ここでは全く異なりました。もちろんひとつの家に永く住んでる人たちもいますが、若いときにはいろいろな家を住み替え、シニア世代になるときに一軒家から管理が楽なコンドミニアムに移る、という人たちも多いそうです。

それも不動産の価値が上がり続けるからこそできるのだろうと思います。

日本とはかなり違う、アメリカで一軒家を買うシステム(NJの場合)

郊外は小学校も広々している

1. エージェントを決める(バイヤー側エージェント)

私たちは初めての家購入で、どのエージェントがいいか、など全くわからなかったので、とりあえずZillow(不動産情報サイト)で内見したい家を見つけ、その家のセラー側エージェントに連絡を取りました。

2件目の内見先のセラーエージェント夫婦がとても印象がよく、よくわからない私たちに一から様々なことを教えてくれました。そのため私たちは彼らを私たちのバイヤー側エージェントとしてお願いすることにし、最後までお付き合いすることになりました。彼らに出会えたのは本当にラッキーでした。

2. エージェントに内見に行きたい家を伝え、一緒に内見をする

エージェントを決めた後は、内見したい家が見つかった際には自分たちのエージェントに伝え、エージェントがセラー側のエージェントに連絡をとり、スケジュールを組んでくれます。

エージェントは全ての内見先に一緒に来て、家のあらゆるところを見ながら、私たちでは見過ごしてしまいそうなチェックポイントなどを教えてくれました。一緒に内見することで、エージェントも私たちの好みをよく理解することができ、その後のオススメ物件の精度が上がっていきます。

3. 購入したい金額でオファーを入れる

内見して気に入ったら、エージェントを通してオファーを入れます。リスティング価格があっても、その金額通りでオファーするかは、世の中の状況によって考慮する必要があります。

コロナ禍のニュージャージーでは、ニューヨークからのバイヤーがかなり多く、セラー側が圧倒的に有利なセラーマーケットになっています。そのため、セラーは複数のオファーをもらうケースが多く、その場合にはセラーにとって利益が大きく、ストレスなく売ることができるバイヤーのオファーが選ばれます。そのため、自分たちのオファー金額がセラーにとって魅力的にみえるように、リスティング金額よりもどれくらい上乗せしてオファーするか、を考える必要がありました。

私たちがオファーした話はこちらにも書きました。

私たちのエージェントは、オファー金額の目安として、購入したい家と似た条件(広さ、築年数、設備)で、同じ地域の最近売買があった家を調査し、リスティング価格とオファー価格にどれだけの開きがあるのかの『傾向』をお知らせしてくれました。あくまでもオファー金額を決めるのは私たちで、この情報を元に必要以上に高い金額でオファーしないように気をつけました。

例えば、セラーマーケットの地域でリスティング価格が$800,000の家にオファーを入れる時に、オファーを通すために$1,000,000でオファーを入れれば通る可能性は高いかもしれませんが、それが適正価格なのかが素人の私たちでは判断がつきません。そこでエージェントが周辺で似た条件の物件の売買履歴を調べ、$900,000を超えない範囲で売買されている傾向を見つけたら、$1,000,000が高すぎることがわかります。

4. (オファーが承諾された後)アトーニー(弁護士)レビュー

めでたくオファーが通ったら、セラー側とバイヤー側、両方の弁護士同志で、オーナー情報、家情報、セラー情報、金額などの書類をやりとりします。弁護士はその州の不動産を扱う弁護士ライセンスを持っている必要があります。

私たちは友人の弁護士夫婦にお願いしました。もし身近にいない場合にはエージェントが弁護士を紹介してくれると思います。

5. インスペクション(物件の検査)

インスペクションでは家の全てをチェックし、瑕疵がないかをチェックします。もし大きな欠陥が見つかった場合には、オファーを引き下げることができます。

項目としては、家の検査、シロアリ検査、ラドン検査、排水管検査、煙突があればその検査も含みます。この検査は家の購入額には含まれず、別で支払います。$700〜$1500くらいと、少し幅があります。

私たちのインスペクターは、私からみても驚くほどかなり細かくいろいろチェックする人で、逆に安心しました。

6. インスペクション後の交渉

インスペクションの最終書類をインスペクターから受け取った後は、その内容から、購入するにはこの項目は修理をお願いしたい、という内容をエージェントに伝え、エージェントからセラーエージェントに伝えられます。

その項目は家を引き渡す前にセラーが修理してくれる場合や、セラーがこちらに$〇〇〇〇渡すのでどうか、などの交渉の材料になります。セラーマーケットの現在はこのインスペクションをスキップすることもあるそうですが(セラーは家のダメージを見られたくない、できるだけ高値で売りたいので)、バイヤーにとってはかなりの賭けになってしまうため、私たちのエージェントからはインスペクション実施を勧められました。

7. アプレイザル(家の評価額)

インスペクションのレポートを元に、住宅ローン会社がアプレイザル(家の評価額)を出してくれます。これはバイヤーが購入する金額と、金融会社が見た価値が等しいかどうかを見るものです。もしアプレイザルが購入額よりもかなり低い場合にはどうするのか、というのはオファーをする前に考慮し、オファーに含めておきます。

オファーに含めるのは、『アプレイザルが購入予定額(オファー金額)よりも低い場合、差額の50%をアプレイザルに載せた金額を最終オファー金額とする』などの条件です。細かい条件は弁護士と一緒に考えます。

この条件の場合の例では、購入予定額(オファー金額)が$1,000,000で、アプレイザルが$950,000と低かった場合、差額の$50,000の50%の$25,000をアプレイザルの$950,000にプラスした、$975,000を最終的なオファー金額とする、ということになります。

8. 頭金の支払い

オファー時に提示した頭金のチェックをセラー側弁護士に送ります。頭金は通常、物件価格の20%が基本として考えられています。20%以下で残りは住宅ローンとして払う場合、Mortgage Insuranceを毎月支払うことになります。

9. タイトル調査

家に抵当権がついていたり、未払いの固定資産税などがないか、などを調べるのがタイトル調査です。もし未払いの固定資産税などがある場合には、新しいオーナーが払わなければならなくなります。

10. 所有権移譲 、クロージング

タイトル調査が終了したら、ついに所有権が旧オーナーから新オーナーに移ります。しかしこれはお役所仕事で、その地域の役所が処理します。私たちの地域の役所はコロナで閉鎖していたことに加え、多くの人が家を購入したため、通常1日で終わるこの作業を30日待つことになってしまいました。

所有権が移ったら、やっとクロージング(家の引き渡し)です。100枚くらいの書類に夫と2人でサインしました。

家探しで役に立ったWEBサイト

物件探しは見やすく、わかりやすくて便利なZillow

Zillow のマンハッタンの物件例

アメリカで不動産購入を考えている人は、だいたいZillowかRedfinという不動産情報サイトを使います。写真や情報の内容にどちらも違いはないのですが、個人的にはZillowの方が、ユーザーインターフェイスが見やすくわかりやすいのでメインに使っていました。築年数や広さ、設備でフィルターをかけて探します。

どんな地域なのかを調べるなら Niche

ニューヨークのファイナンシャル・ディストリクトの例

全く土地勘のない地域の家の内見に行く場合には、Nicheで事前にどんな地域なのかを調べることをオススメします。Nicheはその地域をあらゆる項目のグレードで示しているサイトで、犯罪件数と学区がいいかどうかは特にチェックしました。

日本にいたときには全く意識していませんでしたが、アメリカではいい学区かどうかが、治安と家を売却する時の価値につながります。また、Nicheではその地域に住む人たちの世帯収入中央値も確認できます。中央値がとても低い場合には治安に不安がある可能性があります。

とはいえ、Nicheで調べてグレードも高いし、世帯収入中央値も高く、ものすごく可愛らしくキレイな街の家に内見に行きましたが、車で3分もかからない隣の地域が見るからに治安が悪い(道がゴミだらけ、火事で焼けた家がそのまま放置、落書きが多い、道に多くの人が座り込んでいる)、ということもありました。

Nicheだけで街のすべてを把握することはできないので、ひとつの目安として捉え、気に入った街は必ず周辺も実際に探索するのをオススメします。

私たちが探していた家とは

わたしたちはコロナウィルスがニューヨークでピークをむかえた、4月半ばくらいから家購入を考え始め、5月に入ってからは本格的に物件を探し始めました。

オファーが通り購入決定が8月半ばだったので、約4ヶ月間物件探しをしていたことになりますが、たった4ヶ月の間でも最初の頃と最後の方では、希望する物件が全く異なりました。私は日本にいた頃、プロダクト&インテリアデザインを本業としていたため、好みがうるさいというのもありますがw

夫婦共にアメリカで初めての家購入だったこともあり、初めの頃は全くわからずにウェブサイトを眺めていましたが、ウェブサイト上の情報のどこを気にして見るか、実際に内見して何をチェックするのか、何を感じるかなどが、だんだんとわかってきたことも大きいです。

私たちが最終的にリストアップした理想の家の要素はこんな感じです。

  • 1920年〜1950年の間に建てられた古い家
  • 少なくとも3ベッドルーム、2バスルーム
  • オリジナルのハードウッドフローリング
  • 玄関ドアがリビングにダイレクトではなく、玄関ホールがある(アメリカでは玄関を開けていきなりリビングという家も多い)
  • 土地の広さが10,000sqf 以上、家の総面積が1600sqf 以上
  • モダンすぎるスタイルで内装がリノベートされていない
  • 左右の近所の家との間隔が広い

私たちはモダンすぎる建築よりも、歴史を感じる建築などに魅力を感じていました。モダンな建物に住むのは世界中どこでも可能だし、日本にいると100年近く前の建物に住めるということはかなり稀なので、ここアメリカで体験できる絶好のチャンスでした。マンハッタンで住んでいたアパートも内装はモダンだったものの、1931年に建てられていて歴史を感じられる外観が大好きでした。

古い家はいろいろガタが来ていそうに思われますが、家購入の際にはインスペクションという家の検査が入るため、家に問題があると購入できない(購入しないことを選べる)システムになっています。ちなみに1950年代〜1970年代の家は家の外観や内部レイアウトがみんな似たり寄ったりで、もう少し違うスタイルが好みだったため、リストには入れませんでした。

大都市周辺のニュージャージーのような地域では中古住宅をリノベーションし、まるで新築のようになった住宅を高値で販売していることが多いのですが、設備やデザインから安くリノベーションしていることが明らかな場合があります。それらは画一的な素材や色、デザインで、そこで家族の生活が営まれるということが想像されていないような、冷たい寂しさがありました。

逆にスタイリストやデザイナーを入れてリノベーションしたであろう住宅もありますが、私にとっては誰かの個性が強く入りすぎていて、自分の持つスタイルと相入れなく、自分がそこに住むイメージができませんでした。

なので私たちの理想は、自分たちで好きなように変えることのできる余白のある、きれいな家という、なかなか難しいものでした。

時間はかかりましたが、最終的には全てのリストにチェックが入る、今の家を見つけられました。

高い買い物なので、自分たちが納得いくまで家の内見を続けるのが理想の家にたどり着ける1つの方法かな、と思います。

引っ越して1ヶ月経って

ニューヨークと今の引越し先は車で30分程度ですが、気持ち的にかなり距離がある気がします。というのも暮らしが全く異なるからですね。

子どもなしの2人暮らしとはいえ、お互いに音が干渉しない空間があるのはとても大きいです。引っ越して本当によかったと思います。

引っ越して3日目くらいの時に、私のオフィス部屋の壁とドア、トリム(ドア、窓枠)をペイントしました。スイッチカバーをホワイトに変える必要がありますが、とても明るくなったので気に入っています。

結構雰囲気変わると思いませんか?

Before
After
Before
After

実際にはベッドルームや玄関から階段ホールすべてをペイントする予定だったのですが、私の部屋だけで2人ともどっぷり疲れてしましまいましたw 

とりあえず次のプロジェクトは、リネンクローゼットの中をホワイトの壁に塗り替えて、オークの棚にチェンジしようと思います。

まとめ

長くなってしまいました!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

まだまだキッチンのリフォームや、家の中でこうしたい、ああしたいがたくさんあるので、その都度記事にしていきます。

ではでは!

▼追記:キッチンのリノベーションが始まりました!

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