こんにちは。ハピネコ(@happyneconyc)です。
こちらは今まで読んだアートを題材にした小説をリストにした本棚ページです。個別の記事にしていない本をまとめてリストにしています。記事にした際にはこのリストから外れます。新しく本を読んだあとは随時更新していきます。
順番は好きなランキングではなく、ランダムに掲載しています。
ここに掲載した本は美術館に行く前に読むと、実際に絵を前にした時、絵の捉え方、感じ方がかなり深くなるので、行く前に読むことを強くオススメします。
読書用アプリに登録していた簡単な感想を一緒につけています。
読書レビューは読んだ後にすぐ書いた方が記憶も感情もフレッシュなのですが、過去に読んだ本をブログ記事にするのが難しく、時間がかかってしまいます。アプリはいつも読んだ後すぐに記載するようにしています。アプリには文字制限があるので、書いている内容が不十分ではありますが、読んだ後の率直な感想を書いています。
Contents
原田マハ:楽園のカンヴァス
実際にニューヨーク近代美術館(MOMA)に勤務経験のある原田マハによる、フランスの画家、アンリ・ルソーの「夢」を題材にしたアートサスペンス。「夢」に酷似した絵をめぐって、その真贋を判定したものに絵を譲る、というストーリー。
小説自体はフィクションだが、ルソーの人物像や時代背景は事実に基づいており、1900年代初めのアートシーンを感じながら読むことができる。
そしてアンリ・ルソーの「夢」は現在、ニューヨークのMOMAが所有。この本を読んでからその絵を前にすると、なんだかこの絵の全てを知っているような、他の絵とは全く違う不思議な親近感が湧いてくる。
原田マハ:たゆたえども沈まず
ゴッホと弟のテオ、そして彼らと深く関わった日本人画商2人のストーリー。
この本で初めて日本の浮世絵が19世紀の美術界に与えた影響とそれに林忠正という日本人が関わっていたことを知った。後世に世界的に名が残ることになるアーティストの人生に日本人が関わっていた、というのはとても嬉しい。ゴッホが生きている時には全く評価されなかったことが辛い。ゴッホにも兄を支え続けたテオにも、「大丈夫だよ、理解される日が来るよ」と伝えてあげたい。
フィクションが多いとは言え、歴史を詳細な心理描写のストーリーで読めるのは本当に有難い。
原田マハ:暗幕のゲルニカ
反戦の怒りを込めた名画、ゲルニカ。ピカソがゲルニカを描きあげるまでのストーリーと、911で夫を亡くした日本人女性ヨーコの物語。そこでゲルニカが持つ意味。
原田マハさんの表現は、いつもまるでドキュメンタリーを観ているような感覚。私は戦争もテロも体験したことが無いけど、ピカソやヨーコと一緒にその時代を追いかけて体感しているような、緊迫感を感じて苦しくなる。戦争やテロによって人生を翻弄されながらも、強い信念を持って行動する人たちの姿が本当に素敵だった。
原田マハ:ジヴェルニーの食卓
現代では巨匠と呼ばれる画家4人モネ、マティス、セザンヌ、ドガの、すべて史実を元にした短編フィクション。フィクションではあるけれど、それぞれの画家の身近に存在した人の視点から見た、画家の人となり・背景・創作の姿が描かれていて、今まで歴史上の人でしかなかった画家たちが生々しく、本当に存在したんだと感じられる。
ちょうど東京でモネ展を開催していて、モネの短編を読んだ後に行ったため、まるでモネのジヴェルニーの中にいるような感覚で観ることができた。短編の中ではまだ貧しい暮らしをしている画家もいるが、今となっては皆が名を知ることにワクワクする。
原田マハ:リーチ先生
こちらの本は別記事にしています。
近藤史人:藤田嗣治「異邦人」の生涯
東京国立近代美術館に行った時に、明らかに他の日本人画家と異なる画風に驚いたので、なぜそうなったのか背景を知りたくて購入。こちらは小説ではなく伝記。
1920年代からのエコール・ド・パリを代表する画家でフランスでは知らない人がいないほど有名だった日本人画家の生涯。
藤田嗣治は当時の日本人にしてはかなり濃密で突飛な体験をしていて、だからこその作品が作られ、そして海外での評価も高い。なのに私のデザイン学校でも彼について学ばなかったし、今まで名前しか知らなかった。その原因となる当時の日本社会の排他的な空気とご都合主義、出る杭は打つ気質が未だに一部でもあるような気がしてならない。自分の居場所を日本の外に見つけるしかなかった藤田嗣治が本当に気の毒に思えた。
ドウス 昌代:イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者
ここ数年で一番買って良かったと思える本。かなりの情報量と取材量で、伝記物としては珍しく両親の生い立ちや出会いから始まる。読めば読むほど確かに両親について知らないとイサムの心の葛藤や帰属意識、芸術観への理解が深まらない。イサムは日本でもニューヨークでもパリでも著名な人たちとの交流が驚くほどある。2度も戦争を経験し日系人収容所に志願入所しても創作意欲を失わない。ただ戦時中とは言えアメリカは自国の土地では戦争を行わないので状況が日本やヨーロッパのそれとは大違い。この濃度でまだ上巻。下巻は戦後の日本へ。楽しみ。
ドウス 昌代:イサム・ノグチ(下)――宿命の越境者
イサムの活動や私生活を通し戦後の日本が復興に向かう様子が目に浮かぶ。広島原爆慰霊碑のプランにイサムが関わっていたことは初めて知った。照明器具のあかりのコンセプトは純日本人よりも日本らしさの本質を見ていて、ハッとさせられる。庭園に魅せられたイサムの作品がNYCの私の家から1ブロックにあったことに驚愕…そして赤いキューブも。最期のプリシラのcontrol freakっぷりがとても鬱陶しい。作品のテイストもジャンルも定まらないアーティストはなかなかいないが、それがイサムのスタイルというのは読むと納得できる。
まとめ
アート系の小説、まとめてみたら作者がほぼ原田マハでした・・・。他の作家さんの本も読んでいると思うのですが、記録を探せませんでした。
原田マハさんの小説は心理描写が本当に繊細に描かれているので、フィクションだとしても、絵を前にした時、そのアーティストのことをよく知っている気になってしまいます。
特にニューヨークでは原田マハさんが題材にしたアーティストの絵を気軽に見に行けるので、とても嬉しいです。
このほかにも、推理小説やファンタジー小説などの読書本の棚記事を書く予定です。リクエストがありましたらコメントやコンタクトからお願いします。